■日本に母の日はありますか? (2000.4.25)
日本における母の日は、アメリカの影響を受けて5月の第2日曜日が母の日です。
イギリスのカード産業は、イギリス本来の Mothering Sunday とアメリカ式の Mother's Day と2回、売り上げを伸ばす機会に恵まれます。 Mother's Day が産業発展のため意図的に作られ、その後で理由が考えられた行事(というのがイギリス人の言い分)であるのに対して、Mothering Sunday は宗教的な意味合いを含み、イースターと合わせて毎年変ります。今年(2000年)は4月9日でした。
伝統的に Mothering Sunday には、カードと一緒に、この季節に咲く水仙の花束が贈り物とされます。菊の鉢植えにも人気があるのは、英語名 Chrysanthemum の Mum が "お母さん" という意味でもあるからです。
息子の学校では毎年、図工の時間に生徒各自が母の日のカードを作っていました。今年はそれがなく、父親とお店に行って買って来たようです。楽しみにしていた私はちょっとがっかりしたのですが、すぐその理由がわかりました。数ヶ月前、同じ学校に通う姉妹のお母さんが2年間の闘病生活の末、乳癌で亡くなられたのです。地方新聞で、傷心の父親が健気に親子3人でのこれからの生活と妻との思い出を語っていました。息子の通う小学校は全校生徒数約200人の小さな学校です。母親を亡くして以来初めての母の日を迎えなければならない姉妹のための、特別な配慮だったようです。
日本では母の日のカーネーションの色が、悲しみと喜びのコントラストを明らかにします。
■着物を仕立てる難しさはどこにあるのでしょうか? (2000.4.1)
日本の着物は一直線の縫い目でつなぎ合わされているため、仕立てるのは簡単なのではないか、とイギリス人の多くが思い込んでいることでしょう。『着物を仕立てる難しさ』 はどこにあるのでしょう? なぜ "手縫い" に固執しなければならないのでしょう?
昔の日本女性がみな自分で作っていたことを考えれば、着物を仕立てる難しさはない、と謙遜される和裁士の方もいます。とは言え、短大卒業後、和裁師範科(3年)のある専門学校を卒業、その後5年間和裁会社に早朝から深夜まで勤め、現在は独立して自宅で仕事をする一方、デザイン専門学校で講師もなさっているという女性のお話では、突然の連絡を受けて2日間徹夜で高級和服を仕上げることもざら、という大変なお仕事のようです。
和裁士になるための資格試験はあるものの、免許は不要。専門学校卒業後に和裁の会社で5年ほど修行したり、専門学校へは行かずに直接和裁会社でお針子の修行をする人もいるそうです。 手縫いにこだわる理由は、高級な絹の着物であれば、何度でも仕立直しがきくからだそうです。ポリエステルやウールのものや、糸をほどいてまた縫い直して着るというわけではないのならば、ミシン縫いの着物もあるとのこと。但し、安いものが多いそうです。
オーストリアにホリデーに行った時、一緒のテーブルに座った紳士が 「日本女性はクッションをしょって歩く」 と言うので、「あほかいな、この男」 と思ったのですが、イギリスに戻った後でそれが "帯" のことだと思い当たり、3日ばかり笑いが止まらなかったことを今ふと思い出しました。
★ 情報を提供して下さった Ayuko さんにお礼を申し上げます。
■日本人は、有給休暇を全部消化しないって本当ですか? (2000.2.3)
はい、本当ですよネ。「有給休暇なんて、あってないもの」これが正解。
今でも忘れられないのが私のOL時代の一件。海外旅行の懸賞に当たってオーストラリアに行けるチャンスがあったのですが、会社側の返事はたった一言「ダメ」。日数からして正当な権利はありました。私がいない間の埋め合わせなら、同僚が出来たことです。(あ、スミマセン。こんなこと言うこと自体、日本人には許されないことなんですよネ。「結婚までの単なる腰掛けと思うな」と言われつつ、結婚すると「出産育児休暇はやれんからさっさと辞めろ」とプレッシャー。仕事に命をかけると「生意気なオールドミス」。日本のOLはどうすればいいの!?)
日本人は、情にもろく情け深いとされているようです。身内の不幸などということであったならば、別だったかもしれません。日本人は他人の幸運に遭遇した時、それを祝福するというのが苦手なのではないでしょうか。
誰かが喜んでいる時、一緒になって喜ぶということに慣れていないような気がします。そういう訓練が子供の時からされていないせいでしょうか。懸賞に当たったということに対して「運がいいわね」とか「おめでとう!」とかいう言葉は、誰からも聞きませんでした。職場で特に私が嫌われていたという訳でもありません、念のため。 有給をとって海外旅行をするという同僚に「いいわねぇ、行ってらっしゃい!」と言ったり、言われたりする雰囲気が、日本の職場にはないのではないでしょうか。 日本の職場は、すごくシリアスだと思います。
■United Kingdom(連合王国)がなぜ日本語では「イギリス」になるんですか? (2000.1.15)
「日本語で America はアメリカ、France はフランス、Spain はスペインと言います。」と説明すると生徒は「ふむふむ、日本語も英語に似たところがあるんだな」 と嬉しそうな顔をします。しかしその後「United Kingdom はイギリスと言います。」 と言ったとたん、生徒の顔には「?」
そもそもイングランドがイギリスと日本語化した理由は何でしょう。私はイングリッシュ English (イギリスの)という形容詞が誤って名詞として使われた上、日本人の発音し易いようになまったものではないかと考えます。鎖国時代交易を許されていた、スペインとポルトガルの言語訳でのイングレース(イギリス人/イギリスの)からという見方もあるようです。
それはさておき、United Kingdom はイギリス、スコットランド、ウエールズ、北アイルランドから成る連合王国を意味しています。"イングランド" が "イギリス" になまっただけならまだしも、4つの国の連合であるものが、ただ1国の名前に総称されてはたまらないではありませんか。
スコットランド人はスコットランド人として、ウエールズ人もアイルランド人も各々、日本人が想像する以上に誇りを持っていますので、このへんにくれぐれもご注意のほどを。
さて、授業はそれだけでは終わりません。「フランスの国語はフランス語、スペインの国語はスペイン語」とやって、「ふむふむ、国名の後に "語" をつけるだけか」という生徒の思いを粉々にする「イギリスの国語は英語」と言ったとたんの生徒の反応をご想像下さい。
日本語を教える醍醐味(?)は、こんなところにあるのです。
■日本では、音をたてて食事をしても構わないのですか? (2000.1.1)
日本人が音をたてて、うどんやそばをずず〜っとすするのを目撃した欧米人のショックたるや、筆舌に尽くし難いものがあるようです。あの礼儀正しい日本人が…! 信じられない事実をまのあたりにした時の彼らの当惑ぶり。
欧米諸国のテーブルマナーでは、ナイフやフォークをかちゃかちゃさせたり、スープをすすったりするのは言語道断。げっぷなんてもってのほか。
音をたてて食べてはいけないというだけではなく、彼らにとってslurp(すする)という行為は非常に難しい芸当らしいです。親日家の私の生徒の中には「日本に行く前に "あれ" を特訓して行かなければ!」なんて真剣に言う人間もいる始末。
また、よく言われることですが、納豆や味噌の味と臭いは彼らにとって「最悪!」の域をはるかに超越するそうです。
私が "赤十字からの慰問小包"(と配偶者は呼んでおりますが、実家から送られて来る日本食の小包のことです)に入っていたたくわんを、お昼に片手拝みをしつつ味わった日のことです。仕事から帰った配偶者が、台所に入って来るなり鼻をひくひくさせ、急いでガスの元栓をチェックしたということがあります。ふぅん、たくわんの臭いってガス漏れの臭いと似てるのか。思わず感心させられた日本人の私なのでした。
いかの塩辛にいたっては、「なにか冷蔵庫の中で死んでるぞ!!」と彼を恐怖に陥れてしまったことも。
どちらの側にとっても、正真正銘のカルチャーショックです。
■日本人はクリスマスをお祝いしますか? (1999.12.20)
言うまでもありませんが、クリスマスはキリスト教の行事です。神道や仏教を信奉すると言われる日本の国で、欧米人が ♪荒野の果てに♪ の曲が流れるデパートでクリスマスの買い物をする時、何か理解し難いものを感じるようです。
「クリスマスを祝う」という意味ではないとは言え、カード産業やケーキ産業、商店街にとってこの機会を逃す手はありません。日本に "クリスマス" は存在しますが、キリスト降誕を祝うということとはなぜか別問題のようです。
私がこう説明すると、「イギリスでもそうだよ。クリスチャンは少数派になりつつあるから。」と言う人も多くなりました。多数の移民を受け入れているこの国では、彼らの宗教の自由も認めているのです。その結果、生っ粋のイギリス人が仏教やイスラム教に改宗することも珍しくなくなりました。
ともあれ、クリスマス、ボクシング・デーと祝日になっているイギリスでは、家族が集ってごちそうを食べた後、プレゼントを交換する楽しい休日です。
伝統的なイギリスのクリスマス・ケーキはドライフルーツが入っていてどっしりと重く、マジパンやアイシングで飾りつけがしてあります。「日本にはアイスクリーム・ケーキというのがあって、私の子供の頃大人気でした。」と言うとみんなびっくり。
どなたか、イギリスでアイスクリーム・ケーキのビジネスを始めてみませんか?
■日本人はどうしてアメリカン・アクセントで英語を話すのですか? (1999.11.25)
イギリスに住んで15年以上になりますが、イギリス人はもとより、フランス人やドイツ人、ロシア人からもよく聞かれる質問です。
どうもヨーロッパの人間達には、アメリカン・アクセントはダサイととられているらしいのです。そのダサイのを日本人が好んで使うことが、彼らには理解しがたいと言わんばかり。
本国アメリカでさえも、上流家庭の子弟は英国人教師の多い私立校に送られたり、子供の世話をするナニーと呼ばれる仕事には英国人が指定されたりします。こういった環境で発音のクリアーな Queen's English に近づける努力がなされるようです。
アクセントは好みの問題ですし、どちらがいいとはいちがいには言えません。何よりも「きちんと話すこと」、これが一番大切なことでしょう。
映画からひろうスラングは「生きた英語」としてもてはやされる風潮があるようですが、こういった単語は非常なインパクトを与えるので、TPOをわきまえなければなりません。いきがって使うことは避ける方が無難です。
英語と米語の間には、標準語と東北弁とを比べた場合とはまた異なる違いがあります。アクセントだけではなく文法的にも多少の違いがあることをここに付け加えておきます。
■日本では、女性に年齢を尋ねることは失礼にあたらないのでしょうか? (1999.10.29)
日本滞在中、行く先々で「How old are you?」と聞かれたという私の友人マリオンは、例外ではありません。別段トシより若くみえるからという訳でもないのに、外国人女性が日本人に年齢を尋ねられたという話はよく聞きます。
この質問に、私は「How old are you?」は誰もが自信を持って言える数少ない英語のレパートリーのひとつなので、日本人としてはそれを試してみたいのだろうと思う、と答えることにしています。
お願いですから「ホワッチュアネーム?」「ハウオールドアーユー?」の質問の後で、笑って逃げるということはしないで下さい。相手もちゃんとした生身の人間であることを、お忘れなく。「おトシよりずっと若く見えますね。(You look much younger than you are.)」 「そうですか。私もあなたと同じ年齢で、子供が3人います。(Are you? I am the same age as you are and have three children.)」など、その後の会話に発展するようなセンテンスも言えなければ。「How old are you?」だけではまさに "失礼" な質問になってしまうのではないでしょうか。
はっきり言って、親しくもない女性に年齢を尋ねることは、日本でも欧米でもマナー違反だと私は思います。![]()
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■日本では人の前で鼻をかむのは失礼って本当ですか? (1999.10.20)
イギリス人がティッシュペーパーを使わず、ハンカチで鼻をかむというのはよく知られた事実です。それもうら若い金髪碧眼のスタイルのいい美女が、ところ選ばずブビーブッブーと音高くハンカチで鼻をかんでるのに出くわすと、日本人はぎょっとしてしまいます。
「日本では、なるたけ目立たないように部屋の隅に行くなどして、音をたてないようにしてすませるんですよ。」ちなみに日本でハンカチは、トイレで洗った手を拭くのに必要であることを付け加えますと、不思議な目でみられます。
イギリスでは、公衆トイレといえどもトイレットペーパーはもとより、洗った手を拭く紙タオルやジェットドライが必ず備えられています。"BOXティッシュー" のビジネスは、イギリスではあがったりなんじゃないでしょうか…ティッシューの取り出し口にさらにビニールが貼られているなんて細かい芸は、同じ "BOXティッシュー" といえども、イギリスで売られている箱にはついてきませんし。洗っては何度も使用するハンカチと、使い捨ての運命にある一枚の紙といえども、こだわりをもって作られる職人芸の極み(?)のこの違い。
主婦が安売りのBOXティッシューを大量に買って帰る姿も、通りで広告ティッシューが配られるのも、もちろん、日本ならではの風物詩です。![]()
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